諦めていた恋の続きを始めます


『いらない』

という言葉ほど、まどかかを傷つけるものはなかった。

(悠真さんが、沙織さんを抱いた?)

まさかと思った。

悠真を信じたい。でも二階には悠真の部屋しかないし、ドアが開く音はした。
沙織はかつて悠真の恋人だった人だ。何より沙織の乱れた髪と姿が、あまりにも情事を匂わせて生々しい。

過去に裏切られた経験があるまどかは、悠真を信じ切ることが逆に恐ろしかった。

ここには自分しかいない。

真大は二階で何があったか、気がついていないだろう。
だからと言って、すぐに悠真の部屋まで駆け上がって問いただす勇気をまどかは持ちあわせていない。

(どうして、こんなことに)

気がつけば、まどかはじぶんの部屋に戻っていた。

ベッドに腰を下ろしても、何から考えていいのか頭に浮かんでこなかった。
和也から別れを告げられた日には、怒りのエネルギーで荷物を片付けたり琉輝に電話したり出来たのに。

だが、今回は違う。
こうなることを、まどかは一番恐れていた。
また誰かを愛して裏切られたら、もう立ち直れないかもしれない。
そう思っていたのに、悠真を愛してしまった。

もし沙織が情事のあとの心地よい眠りに落ちているとしたら。
そう思うだけで、鳥肌が立った。



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