諦めていた恋の続きを始めます
裏切られたと、決まったわけではない。
でも今のまどかは、悠真に触れることも触れられることも出来そうにない。
そのまま一睡もしないうちに、朝が来た。
と言っても、冬の日の出は遅いから外はまだ薄暗い。
まどかはワンピースから普段着ているカジュアルな服に着替えた。
ハンドバックを持って、コートを羽織る。
そっと門を開けて、大通りに向かって歩き出した。
歩いていれば、何も考えなくてすみ。だから、歩く。
(前にもこんなことがあった……)
東京駅に向かうために、ホテルをひとりで出た朝だった。
(また、ひとりで歩いている)
大通りまで出て、流れてきたタクシーを拾って乗り込むと口が勝手に動いていた。
「東京駅までお願いします」
後部座席に座ってから、バッグにスマートフォンと財布があることを確かめていることに気がついて、まどかは自分自身が滑稽に思えた。
それすら考えずに家を出てきたのだ。
ふと指を見たら、婚約指輪はそのままだ。
まどかはそれを外す気にはなれなかった。