諦めていた恋の続きを始めます
ザクザクと誰かが砂浜を歩いてくる音が聞こえたが、観光客だろうか。
気にせず海を見つめていたら、名前を呼ばれた気がした。
空耳かもしれない。
「まどか」
二度目は、はっきり聞こえた。
振り向くと、悠真がこちらに近づいて来るのが見える。
「え? どうして?」
戸惑っている間に、悠真は目の前まで来ていた。
「ここだと思った。いや、島に行ったかと思って穴吹先生に連絡したら来ていないって言われて」
さすがにどんな顔をすればいいかわからなくて、島には行けなかった。
「昨夜、沙織になにか言われたんだろう」
朝になっても姿を見せないから、悪いと思ったが部屋に入ったと言う。
ベッドを使った様子がないから慌てて琉輝に連絡して、何時に周防家に戻ったか確認した。
それから真大からもまどかに会った時間を聞いたらしい。
「もしかしたら、沙織に出くわしたんじゃないか」
「ええ」
「何を言われたんだ。いや、どうせろくでもないことだろう」
まどかは正直に答えることにした。
「あなた子を産むみたいなこと。真大さんと離婚して、悠真さんと結婚するって」
「バカなことを……」
悠真はため息をついた。
「それを信じた?」
いいえというように、まどかは大きく首を横に振った。
「でも、混乱してしまったの。考える時間が欲しくて」
勝手に家を出たことを怒られると思ったが、悠真は逆に心配そうな顔になる。