諦めていた恋の続きを始めます
淡い恋の思い出
まどかの実家は、東京近郊の住宅街にある。
父は大石医院を開院している医師で、母はそこで看護師として働いていた。
わずかだが入院患者も受け入れているから、両親は朝から夜までとても忙しい。
それでも笑い声が絶えない、温かな家庭だった。
そんな環境で、まどかと三歳年上の兄は育った。
兄の琉輝は成績優秀で母親ゆずりの整った顔立ちだが、残念ながらまどかは父親似だ。
「かわいい」と父はひいき目に言ってくれるが、取り立てて目立つわけではないが、見苦しくもないといったところだろう。
琉輝に比べたら容姿も成績も平均的だったけれど、両親や兄から愛されてのびやかに育った。
いつしか琉輝は医者を、まどかは看護師を目指すようになっていた。
琉輝が医学生になってすぐに、まどかの暮らしに変化が訪れた。
琉輝の通う大学では、医学部の一年生だけ郊外にあるキャンパスに通う。
たまたまそこから近い場所に大石家があったために、琉輝の友人たちが遊びに来るようになったのだ。
遊ぶのか勉強するのか、単に騒いでいるだけなのかわからないが、しょっちゅう医学生たちがやってくる。
まどかの友人たちから、琉輝は「かっこいいお兄さん」として人気があったが、医学部の友人たちはそれ以上だった。
容姿はもちろん、成績優秀で将来は医者になる人ばかり。
たまに大石家で医学生たちに出会うと、友人たちはきゃあきゃあと大騒ぎだ。
「あの人がいい」とか「あちらの方がかっこいい」とか、話し出したらとまらない。