諦めていた恋の続きを始めます



兄の友人たちのひとりが、周防総合病院の息子である周防悠真だった。

琉輝の自己申告によると、彼とは大学で女子学生の人気を二分しているそうだ。
秀麗な顔立ちながら誰に対してもクールな対応をする周防に対し、明るく快活と言えば聞こえがいいが、にぎやかな琉輝。
成績や教授からの評価など、すべての面で競い合っていると話してくれた。
琉輝は「ライバル」と言っているが、まどかにはタイプが違うからこそ理解しあえているように思えた。

何度か見かけているうちに、兄たちと騒いでいても周防の瞳にふっと影が宿ることに気がついた。
恵まれた人生を歩んでいるはずの人が、とても醒めた目をすることがあるのだ。

どうしてなんだろうと気になって、琉輝に尋ねてしまった。
言いにくそうにしていたが、ポツポツ話してくれた内容に驚いてしまった。

幼い頃から両親とは疎遠で、実の兄とも年齢が離れているから遊んだことすらないらしい。

『小さい頃から優秀な兄と比較されて育った』『とっくに実家を出て、家族と離れて暮らしている』

話を聞いて、まさかと思った。

恵まれた環境で大切に育てられたと思っていた人が、家庭に居場所がなかったとは。
孤独だったから、毎日のように大石家に入り浸っていたのかと納得も出来た。

わが家に来た時くらいリラックスしてほしかった。
まどかは、少しでも心地よく過ごしてくれたらと願うようになっていた。



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