諦めていた恋の続きを始めます


「どうした? わからないか?」

そう言って、もっと顔を寄せてきたから思わず心臓が飛び跳ねそうになった。
低いけど聞き取りやすくて、心地いい声。それが至近距離で聞こえてくる。

「だ、大丈夫です」

なにが大丈夫なのか自分でもわからなかったが、機械的に答えた。
だが胸はドキドキと脈打っていて、この音が聞こえたらどうしようと思うと、ますます挙動不審になってしまった。

(もしかして、これが恋?)

恋していると自覚してからは、まともに顔が見られなくなった。

でも年上の医学生に、告白する勇気はなかった。

冗談だと思われるか、もしかしたら避けられたり嫌われたりするかもしれない。
それなら何も言わない方がいいような気がする。

自分の言葉ひとつで琉輝との関係にまで悪影響を与えたらと思うと、ますます想いを告げられなかった。

(今のままで十分。このままでいたい)

大石家にやって来た時に顔を見られるし、友人の妹という立場がまどかにはふさわしい。

だから琉輝が大学での出来事を話してくれるのは楽しみだった。
ただ人気があるから周囲にはいつも女性がいると聞くと、チクリと胸が痛んだけれど。



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