諦めていた恋の続きを始めます
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まどかが看護師の国家試験に合格した頃、兄の琉輝はもう家を出ていたので友人たちが大石家を訪れることはなかった。
琉輝は千葉にある病院に勤めながら、腎臓内科の専門医を目指していた。
周防は循環器内科医を目指して、卒業した大学医学部の付属病院に勤めていた。
看護師になったまどかが就職したのは、周防と同じ病院だった。
たまたま推薦で選ばれただけで、別に彼を追いかけたわけではない。
人手不足もあったのか、まどかが配属されたのは救急科だった。
それから生活のパターンが一気に変わった。
勤め先に近い方が少しでも楽になるだろうという家族の勧めもあり、実家を出てひとり暮らしを始めた。
周防とは病棟が違ったため、同じ病院に勤めていてもめったに顔を合わせることはなかった。
少し残念だったが、以前より近くにいられる気もした。
まどかは周防に認められるようになりたくて、仕事にも意欲的に取り組んだ。
そんなまどかに、突然声をかけてくる人がいた。
「大石まどかさん?」
「はい」
小児科の医師、鷹取和也だった。
ソフトな笑顔で微笑んでいる。
「大石ですが、なにか」
看護師たちの間では人気のある独身医師だ。
「時間があれば、お茶でもしない?」
「え?」
自分が誘われているのかと気がつくまでに、数秒かかってしまった。
「すみません。今日は夜勤なので」
仕事の予定は本当のことだから、丁寧にお断りした。