諦めていた恋の続きを始めます
それからも何度か声をかけられているうちに、穏やかで優しそうな人柄にほだされてしまった。
初めのうちは立ち話だけだったのに、いつしかお茶に行き、休みの日にランチを食べるようになっていた。
「まどかが好きだ」
何度目かのランチのとき、和也から言われた。
「いつも優しくて、すてきな笑顔を見せてくれる。そんなまどかが好きだよ」
まどかは和也に告白されても「うれしい」というより、驚きの方が勝った。
いい友人だとは思っていた。
でも和也はルックスもいいし父親が医療器具の会社社長らしいから、どうして自分なんかをと疑問すら感じてしまった。
「あの、好きって、友人として?」
まどかは思わず聞き返してしまったが、和也は気分を害するどころか、笑い飛ばしてくれた。
「信じてもらえないかな。僕は君といるとホッとするんだ」
そんな言葉にも戸惑うばかりだ。
まどかくらいが気楽でいいという意味かと、うがった見方もできそうだ。
ふいにまどかは「女の子は好きになってくれた人と結ばれた方が幸せよ」と、母が話していたのを思い出した。
母はもしかしたら、まどかが周防に報われない恋心を抱いているのを感じていたのかもしれない。
好きな人に振り向いてもらえなくても、自分を好きになってくれた人と付き合った方がいい。
それは娘が傷つかないようにという、母なりのアドバイスだったのだろう。
まどかは周防には美人の恋人がいると知ってから、誰にもときめかなくなっていた。
ほかの人に目を向けようとしても無理だった。
誰と会っても、誰と話しても、心の奥にある周防がどうやっても消えてくれなかったのだ。