諦めていた恋の続きを始めます
医師として忙しいはずなのに、マメに連絡もしてくれる。
「僕にとって、まどかが一番大切なんだ」
そんな言葉を聞くたび、まどかはこの人と付き合ってよかったと思えた。
ふたりの交際が病院内でうわさされるようになってから、何度か周防とすれ違うことがあった。
まどかが会釈しても、うなずいてくれたかなと思うくらいの素っ気なさだった。
まどかが誰と付き合うかなんて、気にもならないことだと身につまされた。
医師と看護師の距離としてはそれが普通なのに、つい声をかけてもらえるかもと期待してしまった自分が情けない。
高校時代の淡い想いは、まだ心に残っていたようだ。
(こんなことじゃダメだ)
和也に対して誠実でありたいし、仕事にも集中しなくてはと気持ちを引き締めた。
積極的に看護技術の講習を受け、被災地の災害支援ナースにも登録する。
そんな毎日を過ごすうち、やっと師長からも一人前だと認められてリーダー業務を任されるようにもなれた。
ますます責任ある仕事が増え、忙しさも加速する。
緊張感のある仕事を「キチンとしなくちゃ」と心の中で唱えながらこなしているうち、まどかは二十六歳になっていた。