諦めていた恋の続きを始めます
この島に来たのは、偶然だった。
一年前。個人的なことが色々あって、まどかは精神的にも肉体的にも限界まで落ち込んでいた。
だから仕事を辞めて、旅に出ようと思い立った。
貯金はあったし、決まったスケジュールのない気楽な時間こそ自分に必要な気がしたのだ。
北海道や北陸の街を歩いているうち、なんとなく穏やかな海が見たくなって瀬戸内海を目指すことにした。
本州から船で渡ってみようと、いくつかの島を経由して四国まで運航しているフェリーに乗った。
船内は地元の人がほとんどで、ひとりでポツンとデッキに立っていたまどかは目だったようだ。
「どこまで行くの?」
気さくな老女に話しかけられ、飴をもらったりしていうるうちに、ついまどかの口も軽くなってしまった。
「結婚する予定だった人に裏切られたから旅に出た」と冗談めかして話すと、老女に大笑いされてしまった。
「よかったねえ、縁が切れて。そんな男と結婚したら最悪だ」
それは少し前にまどか自身に起ったことだったから、笑ってくれるなんて思ってもみなかった。
いつも気の毒そうな目で見られていたから、思わずポカンとしてしまったほどだ。
まどかはこんなふうに笑い飛ばしてくれる人と、初めて出会った。