諦めていた恋の続きを始めます
婚約していた人に裏切られてから、職場の人たちから腫れ物に触るような扱いを受けてきた。
縁が切れてよかったと言われたら、急に背負っていた荷物が軽くなった気がした。
過去を忘れるというのは、物を捨てるのと似た感覚があるのかもしれない。
そのまま老女とおしゃべりしていたら、船内に「お医者様はいらっしゃいませんか」というアナウンスが流れた。
フェリーの乗客の中に、急病人が出ようだ。
まどかが医療関係者だと名乗ったら、中年女性だけでグループ旅行をしていたうちのひとりが気分が悪くなって動けなくなっていた。
脈を測って意識レベルを確認していたら、老女が次にフェリーが着く島に診療所があると教えてくれた。
「いい先生がいるんだよ」
自分が住んでいる島で、とても腕のいいお医者様だと自慢げに話す。
その話を聞いて、グループの女性たちも島で診察を受けたいと言いだした。
それならと、まどかも介助しながら付き添うことにした。