諦めていた恋の続きを始めます




言葉がうまく口から出てこない。
何か言わなくてはと焦っても、声にならなかった。

(子ども?)

子どもができることを、ふたりがしたということだ。
和也が葉子と付き合っていたなんて、まどかはまったく気がついていなかった。

病院内でも、まどかが和也と婚約していることは知れ渡っていた。
それをわかったうえで、葉子は和也を誘惑したのだろうか。それとも和也が彼女に手を出したのだろうか。
もうまどかの頭の中はパニックだ。

「だから、和也さんと別れて欲しいの」

「あの」

考えがまとまらない。

「私のこと、愛してるって言ってくれてるし」

葉子は自信たっぷりだ。

「あなたは冷たい性格だから寂しいって、それに物足りないって言ってたわ」
 
葉子は豊かな胸を強調するような服装だ。
スレンダーなまどかでは、和也を満足させられないだろうと言わんばかりだ。

和也から冷たいと言われたことはなかった。
それに体のことまで、ふたりは話題にしているのだろうか。

和也の子どもを妊娠しているだなんて、すぐには信じられなかった。

「……」

まどかが黙り込んだので、葉子はイライラし始めた。

「おなかの子はそろそろ四カ月に入るから、早く別れてくれないかな」

だんだん口調がぞんざいなものに変わっていく。
それを聞いていると、なんだかばかにされている気さえする。

その時、慌てた様子で和也がカフェに入って来るのが見えた。

「葉子、何やってるんだ」

和也が最初に呼んだのは、まどかではなく葉子の名だった。




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