諦めていた恋の続きを始めます
和也は気まずそうに、まどかの前。つまり葉子の隣に座った。
「来てくれたの?」
申し訳なさそうに言いながら、葉子は和也の袖をつかんでいる。
「勝手なことをするなよ。僕のスマートフォンを使うなんて」
まどかが受けとったメッセージは、葉子が送ってきたものらしい。
「ごめんなさい。でも、この子のために一日でも早くはっきりさせたかったの」
葉子は和也の手を自分のおなかの辺りに置いた。
「だからって」
まどかの視線が気になるのか、和也はサッと手を外した。
「私、和也さんのことが好きなんだもの」
「体調が悪いのに、無理しないでくれ」
「つわりくらい、大丈夫よ」
目の前のふたりの会話が、耳を素通りしていく。
まどかがいるのに、ふたりだけの世界に浸っているらしい。
葉子の手がもう一度、和也の腕を引き寄せる。まるですがりつくような格好だ。
それなのに葉子の視線は、自慢げにまどかの方に向いている。
「申し訳ない、まどか。式が近いのに、こんなことになって」
「そうですね」
機械的に返事をした。
「責任をとるつもりなんだ。君にはすまないと思っている」
和也が頭を下げてくる。
「和也さんがあやまらなくてもいいじゃない」
葉子は頭を上げてと言うように、和也の腕を引いた。
「まどかさんはしっかりしてるし、強い人だもの。きっとわかってくれるわよ」
言葉では持ち上げてくるが、葉子はまどかを侮るような目つきだ。