諦めていた恋の続きを始めます


「まどか、婚約はなかったことにしてくれ。まどかならひとりでも大丈夫だろうけど、葉子と生まれてくる子には僕がいないと」

強いとか、大丈夫だという言葉が自分に当てはまるかどうかわからない。和也の言葉を聞いて、何かがまどかの心で弾けた。
プツンと大きな音を立てて、張りつめていた糸が切れたような感覚だ。

どちらかと言えば悪意に無頓着なまどかでも感じられた。葉子は、まどかから和也を奪ったことに優越感を抱いている。
和也はそんな感情には気がついていないのか、妊娠している葉子の体調を気遣ってばかりだ。
まどかのことなど、みじんも考えていないらしい。

付き合ってからの日々、大切にされていると感じていたのは思い込みだったのだろうか。
もう結論が出ているなら、あとはふたりの好きにすればいい。
わずかな時間で、まどかの心は決まった。

「おふたりの気持ちはわかりました。どうぞお幸せに」

まどかはすぐに婚約指輪を外して、カフェのテーブルに無造作に置いた。
おそらく高級な品物だろうが、この瞬間、まどかにとって何の価値もないただの石になった。

別れ話をまどかがあっさり受け入れたからか、和也は驚いた顔をした。
まどかが取り乱して、泣き出すとでも思っていたのだろうか。






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