諦めていた恋の続きを始めます
ある意味、似たもの同士だと思うと肩の力が抜けてきた。
記憶というのは不思議なもので、なにかきっかけがあればどんどん言葉があふれてくる。
学生時代の大石家での思い出や、お互いの仕事の話などで話題は尽きない。
ほんの短い時間なのに、気持ちだけは学生時代に戻ったようだ。
いつもの医師と看護師の関係というより、いっきに距離が縮まった気さえする。
「まどかは、男を見る目がないな」
「え?」
遠慮がなくなったのか、どうやら本音が出たようだ。
「男に対しての経験値が低いから」
和也以外の男性とは交際したことがなかったことを言いたいのだろう。
まどかにはそれが悪いことなのか判断がつかないが、なぜか「次は気をつけろ」とアドバイスまでしてくれる。
「次なんて、いつになるか……」
恋愛なんてもうこりごりと言うと、黙ってまどかを見つめてきた。
その瞳からは、同情なのか憐れみなのかわからない感情を注がれている気がする。
「まどか」
思わず目をそらしてしまったくらい、まどかの胸の鼓動が早くなった。
「あいつはお前に合わないと思っていた」
「ひどい。まるで、こうなることを予想していたみたいな言い方ですね」
冗談めかして文句を言ってみる。
「優しそうなのと、優しいのは違うんだ」
周防の返事は、和也を指している。