諦めていた恋の続きを始めます
和也がいつも笑顔で、穏やかな態度で接してくれたのは、優しさではないそうだ。
「しょせん、あいつは口だけだからな」
言われてみれば、心当たりはあった。
新居の話をしても、カーテンの色や家具など「まどかの好きなようにしていいよ」と言う。
夕食に何が食べたいか聞いても「まかせる」というのが和也の口ぐせだった。
その言葉は愛されている証拠だと思っていたが、見方が変わると適当な相づちにも思えてくる。
自分では決めないし、決まったら合わせるだけ。自分の意見は言わないで、相手に同調していた。
まどかはそんな和也にとって都合のいい相手だったのかもしれない。
いつも和也を優先してきたし、気に入ってもらえるよう努力もした。
けれどそれは、和也にとってどうでもいいことだったのだろう。
そんな和也に捨てられたと思うと、自分自身が情けなくなってきた。
葉子に比べたら、女性としての魅力すらなかったのだ。
(愛されなかった。選ばれなかった……)
暗い気持ちになるまいと、無理にグラスを重ねた。