諦めていた恋の続きを始めます
老女が教えてくれた島の診療所は、港のすぐ近くにあった。
老齢の医師がひとりでここを守っているらしい。
患者を運び込んでから診療所の中を見渡すと、清潔だがかなり老朽化した建物だ。
「急患だね」
診察室から出てきた医師は白髪で、少し背が曲がっていた。
よく通る大きな声で話すのは、患者に高齢者が多いせいだろうか。
まどかが待合室を見渡すと数人の患者が待っているから、老医師ひとりではとても手が足りていないと感じられた。
しかも急患として連れてきた女性は、今や水を飲むことも出来ない状態だ。
「こっちの人を先に見るから、待っててな」
老医師が声をかけると、待合室にいた人たちはすぐに納得してくれた。
旅の女性を診察しながら、老医師は今どき珍しい手書きでカルテに書き込んでいく。
「私、看護師なのでお手伝いさせてください」
緊急事態だから、まどかは医師の指示を仰いだ。