諦めていた恋の続きを始めます
(まさか周防さんが、こんな気持ちの時に一緒にいてくれるなんて)
不思議なめぐりあわせが、なんだかおかしく思えてきた。とうとうまどかの口から、クスクス笑いが漏れてしまった。
「ん? 酔っぱらったか?」
まどかは首を横に振る。
「いらないって捨てられたこと、なんだか吹っ切れそうです」
「そんな言い方はするな」
「はい。もう言いません。周防さんのおかげですね」
まどかが翌日から旅行に出かけてリフレッシュしてくると伝えると「気分転換も必要だ」と理解してくれた。
「では、新たな出発に乾杯してください」
バーに来た時より、なんだかお酒がおいしくなった気がする。
「やっと調子が出てきたな」
そう言われて気がついた。このところずっと重い気分だったのが、少しずつ晴れていく。
「前みたいに、もっと笑ってろ」
「そうですね。楽しいことがあれば」
そう言ってごまかしたが、周防に指摘されるとは思っていなかった。
学生時代から知っている人だから、このところまどかの表情が硬くなっていたのに気づいていたのだろう。
周防が静かにまどかを見つめてくるから、なんだか気恥ずかしくなってきた。
捨てられて飲んだくれていると笑われるどころか、今夜はとても優しい。
慰めなのか同情なのかわからないが、その温かさがまどかを刺激する。
「まどか」
「はい?」
「ひとりで大丈夫か?」