諦めていた恋の続きを始めます
買ったばかりの小エビや、旬のイカがある。
それにハウスで採れたばかりのフレッシュなトマトもあるから、まどかはシーフードパスタを作ることにした。
先日患者さんにもらった野菜はピクルスにしているから、サラダ変わりになるだろう。
このメニューなら時間はかからないはずと思いつつ料理していたら、やけに悠真が静かなのに気がついた。
ふと居間の方に目を向けたら、悠真は縁側にごろりと寝ころんでいた。
昨夜は眠ってなくて疲れているのかもしれないと思うと、ますます島にやって来た理由がわからない。
あの夜のことを今さら蒸し返すとも思えないし、単なる観光なら夜勤明けでなくてもよさそうなものだ。
あれこれ考えながらも、同時に手は動いている。お湯をわかして、トマトは湯むき。
ソース用のオリーブオイルに刻んだガーリックとシーフードを入れ、ハーブソルトで下味をつける。
パスタがゆであがると同時に、フライパンにさいの目に切ったトマトを投入すればソースは完成。
パスタのゆで汁とバターをほんの少し入れ、サッとフライパンで混ぜ合わせる。
「うまそうな匂いだ」
悠真がいつのまにか起き上がって、座卓の前にあぐらを組んでいる。
足の長い悠真には窮屈かもしれない。
でも星がつくようなレストランが似合いそうな人が、古ぼけた和室に座っているのは新鮮な光景だ。
「どうぞ召し上がれ」
「いただきます」
ものすごいスピードで食べるのに、フォークの使い方はとても上品だ。
ソースを散らすこともなく、パスタをズルズルすすることもなく、あっという間に平らげていく。
「このピクルスうまいな」
パスタではなく、まずきゅうりがほめられた。
「野菜も魚も全部、島で採れたものなんですよ」
「だからうまいんだな」