諦めていた恋の続きを始めます
悠真が連れて行ってくれたのは、南米の塩湖のようだと評判になっている場所だった。
まどかは南米に行ったことなどないが、映像では知っている。
美しいと評判になって国内外から見物に来る人が増えているらしく、特に潮だまりに映る空と海と人物がインスタ映えするらしい。
そろそろ夏のシーズンは終わりなので観光客はまばらだったから、ゆっくりと砂浜を歩くことができた。
「すごい……」
こんな景色を見たことがなかい。まどかは思わず息をのんだ。
「だろ?」
まどかはなんとか風景を写真に残そうとがんばってみた。
夢中になって撮影しているまどかを、悠真はおかしそうに眺めている。
まどかがうまく撮れなくて困っていたら、近くにいたご夫婦が声をかけてくれた。
まどかだけではなく、ふたり並んだ写真も撮ってくれるという。
「もっと寄り添って」「ジャンプしてみたら」とあれこれ言われて戸惑っていたら、ふいに悠真がまどかの肩を抱いてくる。
強く引き寄せられたから、寄りかかる形になる。悠真からは、かすかにグリーンノートの香りがした。
「お若いって、いいわね」
まどかは慌てて離れようとしたが、悠真の力には逆らえない。
密着した状態は写真を写す数秒のことだったが、なんだか頬が熱くなってきた。
「いい写真が撮れましたよ」
「お似合いです」
赤面するまどかにスマートフォンを返しながら、そんなことを言ってくれる。
悠真にも聞こえているかと焦ったが、平然と受け流している。
(恋人に見えるのかな)
そう思うと、なんだか顔だけでなく体まで火照ってきた。
写真を撮ってくれたご夫婦と別れると、悠真がまどかの赤い顔に気がついたようだ。
「暑いか? 冷たいものでも飲もう」
「え、ええ」
悠真は近くの店を知っているようで、先に立って歩き始めた。