諦めていた恋の続きを始めます
浜辺の近くのカフェに入って、窓際のカウンター席に並んで座った。
この店からは、砂浜全体の景色がよく見渡せる。
ふたりでぼんやりと海を眺めながらアイスコーヒーを飲むひとときが、たまらなく愛おしく感じられた。
「やっと昔の表情に戻ったな」
「え?」
「肩の力が抜けて、まどからしい笑顔になっている」
「私、笑えてました?」
「笑えているか」という、おかしな問いかけになってしまったが、悠真は気にならないようだ。
「ああ。楽しそうだったよ」
笑っていた瞬間を思い出したかのように、愉快そうな顔をする。
自然に笑えていたと聞くと、目の奥がじんわりとうるんできた。
ここで泣くわけにはいかないとぐっとこらえたが、じわじわとうれしさが込み上げてくる。
泣くまいと、ぐっと眉間に力を入れる。
「あれ、怖い顔になったぞ」
「いやだ」
悠真がまどかの表情を再現しようとしたのか、眉を寄せている。
わざとしかめっ面を見せつけるから、吹き出してしまった。
まどかの笑い顔を見て、悠真も声を立てて笑う。
(楽しい)
ふたりで交わす言葉に心がはずむ。
久しぶりに穏やかな時間を過ごしたら、心がふんわりと温かくなってきた。
勘違いしてはいけないと思いつつ、悠真にとってまどかは何なのだろうかと考えてしまう。
何度も会って、笑いあって、ふたりの距離はどんどん近くなってきた。
(だめ。都合よく考えちゃだめ)
たまたま兄の友人と再会しただけ。
知人の少ない場所で生活しているから、時間つぶしにちょうどいい相手なだけ。
なんとなく島を気に入ったから、遊びに来ているだけ。
まどかは自分に言い聞かせるように、頭の中で繰り返した。