諦めていた恋の続きを始めます
「突然、すみません」
「まどかちゃんのお友だちなら大歓迎よ」
穴吹の妻の晴美は突然の訪問だというのに、とても喜んで迎えてくれた。
だが悠真のことを「友だち」と言われて、まどかは戸惑ってしまった。
友だちというのは都合のいい言葉だ。
親しくしている関係だが、恋人とは違う。
確かにふたりで出かけたりもしているが、正式に付き合っているわけではない。
この関係には「友だち」が一番ふさわしい言葉だろうと納得したが、同時にチクリと胸の痛みも感じた。
晴美の料理の腕は、島でも評判だ。
簡単なものばかりだと言いつつ、テーブルにいくつも皿が並べられた。
脂の乗ったサワラを自分でさばいたというお刺身、イカと子芋の煮つけ、それに自家製の味噌を使ったあら汁。
どれもおいしそうだったが、悠真は食事の前にと断って話し始めた。
「今日はお伝えしたいことがありまして」
「まず話を聞こうか」
穴吹が箸をおいた。
「ご相談いただいていた、診療所を閉院なさってからのことですが」
晴美もハッと表情を変えた。
穴吹夫妻にとって、一番気になっていたことだからだ。
「今勤めている病院で聞いてみたのですが、常駐は無理でも交代制なら島に来てもいいという医師が数人いまして」
「ほお」
穴吹の表情が輝いた。