諦めていた恋の続きを始めます



「きれいな人」

思わずまどかがつぶやくと、悠真がチラリと船着き場の方に目をやった。

その瞬間、わずかに悠真の表情が変わったのをまどかは見た。
知り合いかなと思った時、悠真のポケットのスマートフォンが着信を告げた。
遠目でも女性が手にスマートフォンを持っているのがわかった。彼女が悠真にかけてきたとしか思えない。

「すみません」

そう穴吹に告げて立ち上がった悠真は、竿を置いてから少し離れて行く。どうやら女性の方に向かったようだ。
まどかが様子を見ていると、悠真は女性と合流してこちらに歩いてくる。

(わざわざ会いに来たみたい)

女性はとても親し気に悠真に話しかけている。
腕が触れあうくらいの距離だし、恋人といってもおかしくなさそうだ。

まどかが知らないだけで、悠真には親密な関係の人がいたらしい。

「穴吹先生、すみません」

ふたりはまどかたちのいるところまでやって来た。悠真の隣で女性が軽く頭を下げる。

「急な来客がありまして、せっかく釣りに誘っていただいたのにすみません」

バケツの中で飛び跳ねる魚を、女性はなんとも言えない表情で見つめている。




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