諦めていた恋の続きを始めます
トラブル、トラブル、トラブル
穴吹診療所の待合室は、白いカーテンとモスグリーンの長いす、それに本棚があるだけだ。
古めかしいがこざっぱりとしていて、どこかまどかの実家の大石診療所と空気が似ている。
室内には窓ガラス越しに明るい午後の日差しが差し込んでいるが、中の空気は重い。
「いきなり来るなんて、どういうことだ」
最初に口を開いた悠真の声は、とても冷たいものだった。
わざわざ島まで訪ねてくれた人への対応にしては、失礼ではないかと思うくらい素っ気ない。
女性はまったく気にしていないのか、帽子をとって長いすに座ると待合室を見まわしている。
昭和のままの雰囲気に満ちた診療所が、ドラマのセットのようで珍しいのだろう。
「狭いわね」
「ここは東京とは違うんだ。それより、どうしてここがわかった?」
「探したわ。大学の同窓生を頼って調べたの」
居たたまれなくなって、まどかは受付の奥に入って茶の準備をすることにした。
「お茶を淹れてきますね」
電話ですまない話だから、わざわざ島までやって来たはずだ。
それなりに複雑な話だろうし、邪魔はしたくない。まどかは茶を淹れたらさっさとここから出ようと思った。
まどかが待合室に戻ると、悠真たちは長いすのと端と端にたっぷり空間を開けて座っていた。
気まずいまま、黙ってふたりの間にお盆を間に置く。
「ごゆっくり」
「まどか、ここにいてくれ」
悠真が声をかけてきた。