諦めていた恋の続きを始めます
「頼む」
悠真の真剣な目を見ると、断りにくかった。仕方なくまどかは窓際の丸いすに腰かけた。
「ふたりだけで話したかったのに」
女性は不満そうにつぶやいたが、悠真はまるで聞こえてないように、まどかに女性を紹介してくれた。
「まどか、この人は俺の兄の妻だ」
「周防沙織です」
女性はまどかにチラリと視線を向けてくる。
(え? この人がお兄さんと結婚したっていう、周防さんの元恋人?)
琉輝から聞いていたとおり、華やかで美しい人だ。悠真と並んでもお似合いだっただろう。
あの夜、悠真が「まどかと同じ立場だ」と言っていたのを思い出す。
まどかは目の前にいる沙織という女性が、どうして悠真を選ばなかったのかが不思議に思えた。
沙織の視線からは、悠真に対しての独占欲のようなものが感じられるからだ。
「大石まどかです。よろしくお願いします」
まどかは軽く頭を下げる。
「大石?」
まどかが名乗ると、沙織が少し眉をひそめた。
「まどかは琉輝の妹だ」
大学の同期の名が出たからか、沙織が目を見開いた。
「まあ! あなたが婚約者に捨てられたっていう、琉輝の妹さん?」
そのストレートな言い方に、まどかは息をのんだ。