諦めていた恋の続きを始めます




沙織が帰ってからも、まどかは混乱したままだ。

わざわざ島にやって来たくらいだから、悠真の兄はかなり重い病気なのかもしれない。

「帰ってきて」と、切実な声で悠真に頼み込んでいる沙織を見て、まどかは複雑な思いだった。

家族のことは家族にしかわからないというが、兄の病を悠真がまったく知らなかったのも驚きだった。

学生時代から、悠真はあまり家族のことを話さない人だった。
大きな病院の息子とはいえ、実家の力を使うような人ではないし、派手な生活をしているわけでもない。
もしかしたら家族と悠真の間には、何か確執があるのだろうか。

そのうえかつての恋人が兄の妻になったのだから、家族と距離が出来ても不思議ではないだろう。

おまけにまどかのことを「彼女」と言ったり「まどかと相談して決める」なんて、その場しのぎの言葉だらけだ。
悠真に抱き寄せられたとき、いつうそがばれるかひやひやしていたくらいだ。

(でも悠真さんこそ、つらいはず)

医師だって、家族が病気だと知って平気なわけがない。
しかも東京とは距離があるから、すぐに帰れるわけではないのだ。

考え始めたら堂々巡りをするばかりで、きりがない。
まどかですら落ち着かないのだから、悠真はもっと悩んでいるはずだ。



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