諦めていた恋の続きを始めます
種村は背中が痛いというので横向きのままだ。
「種村さん。どこが痛いですか? ここかな?」
声をかけても、顔をしかめるだけで話せないようだ。かなり痛みが強いと判断したのか、悠真が点滴に鎮痛薬も入れる
「以前の病状と同じでしょうか」
悠真が小声で話すのを聞きながら、穴吹もうなずいている。
「君と同じ意見だが、もしそうならここでの治療は難しい」
「至急大きな病院に運ばないと」
島では救急車を呼ぶわけにはいかないから、さすがに悠真も戸惑っている。
「ドクターヘリを呼びますか?」
「あいにくこの近辺のヘリは整備中で、かなり遠くから呼ばなくてはいけない状況なんだ」
全国でもドクターヘリの整備士不足は問題になっていて、近隣で助け合うことになっている。
「この島からは船の方が早い」
まどかもこの島に来たばかりの頃はびっくりしたが、とても便利だ。
なにしろ診療所のすぐ近くに港があるから、患者をあっという間に対岸にある大きな病院まで運べる。
患者にとって船便の方が体への負担が少ないだろうと、悠真も納得したようだ。
「チャーター船を呼ぶ時間が惜しい。組合長、息子さんの船を出してもらえませんか」
心配そうに見守っていた組合長が、すぐに対応してくれる。
「わかった。今なら港にいるはずだから、連絡してみるよ」