諦めていた恋の続きを始めます




「むこうの港に救急車を手配します」

悠真が勤めている病院に電話をかけて、指示を出す。
その手際よさに、まどかはホッとした。

「周防さんがいてくれてよかった」

こんな緊急時に、行動力があって医師としての知識も豊富な悠真は頼りになる存在だ。

「さあ、運ぶ準備だ」
「はい」

まどかも搬送するための医療器具を確認する。

四国側の港に着いたら、病院まで救急車で向かう手はずも整った。
大阪に住んでいる種村の家族には、晴美が連絡を入れているだろう。

「まどか君、息子さんが病院に着くまで種村さんに付き添ってくれ」

「わかりました」

大阪からなら新幹線とローカル線を乗り継ぐか、高速道路を利用して瀬戸内海に架かる橋を渡って来るかだ。
どちらにしても時間がかかる。

ストレッチャーに種村を乗せて港に行くと、最新式のプレジャーボートがすぐに出航できるよう待機していた。

「いつでも出航できますよ」

「ありがとうございます」

真新しいボートは広めのもので、十人くらいはゆったり乗れそうだ。

種村をストレッチャーごと運び込み、悠真と点滴用のガートル台を支えるまどかが乗り込むと動き出した。

波が穏やかだったので、ボートの揺れは少なかった。

点滴を受けている種村は、うつらうつらしているようだ。
痛みは薬で抑えられているが、悠真は心音や呼吸状態を気にしている。
まどかも血圧を測るなどして、容態の変化に気を配った。

大きな病気でなければいいのにと、願うしかなかった。




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