諦めていた恋の続きを始めます
「どうした?」
悠真のスクラブ姿は同じ病院で働いていたときに見慣れていたが、妙に新鮮に感じる。
「こんな時間ですし、ネットカフェでも探そうかと思って」
まどかが答えると、悠真はあきれたような顔をする。
「バカだな。朝まで俺のマンションにいればいい」
「え?」
悠真はサラリと言うが、まどかは素直に「はい」と言えない。
「遠慮しなくていい。お互い疲れているし、とにかく体を休めよう」
たしかに今日は、いや、もう昨日と言うべきか。午後からずっと緊張の連続だった。
いきなり島に沙織はやって来るし、やっと帰ってくれたと思ったら種村が急患として運ばれてきた。
「でも」
まどかが返事をする前に「夜間出入り口で待っていてくれ」と言い残して、悠真は着替えのためにロッカーに行ってしまった。
ポツンと残されたまどかは疲れてしまって、どうにも頭が働かない。
悠真のマンションに行っていいのか、迷っても答えが見つからない。
慣れない病院だから、案内図を頼りに夜間出入り口に行って悠真を待つ。
ほどなく姿を見せた悠真は、タクシーを呼んでくれていたようだ。
ぼんやりしたままタクシーに乗せられた。
悠真が住んでいるのは、港に近い高層マンションだった。
一階には二十四時間営業のコンビニがあったので、悠真はペットボトルの飲料を、まどかは泊まるために必要なものをいくつか買った。
最上階までエレベーターで上がり、悠真がドアを開けてくれるのを待つ。
「すみません。お世話になります」
「散らかってるけど、気にしないで」
恐る恐る中に入ると、散らかるというより殺風景な部屋だった。
引っ越して来て一年近くになると聞いていたが、梱包を解いていない段ボール箱が置いてある。
忙しいのか、片付ける気がないのかのどちらかだろう。
ふと窓の外に目を向けると、港にあるシンボルタワーの明かりが見えた。
ところどころ街の明かりが光って見えているが、どこからが海なのかまどかにはわからなかった。