諦めていた恋の続きを始めます
兄の真大とは、八歳離れている。そのせいか一緒に遊んだ記憶はない。
家族のスケジュールはバラバラだから、そろって食事することさえまれだった。
それでも真大だけは、悠真を見かけたらにっこり笑って名を呼んでくれた。
ギュッと抱きしめてくれたこともある。
たったそれだけでも、家族の温かさを感じたものだ。
真大は周防家の長男として、周防総合病院の後継ぎとして、幼い頃から厳しく教育されていた。
医学部を目指すために家庭教師をつけられ、手先を器用にするためにバイオリン、体力をつけるための水泳などの習い事でスケジュールはびっしり。
そのうえ真大は成績優秀だったから、両親はとても期待していたようだ。
その反動なのか、次男の悠真は放っておかれた。
特別な教育を受けたことはないし、習い事にも通っていない。
兄のスペアのようなものだから、健康でありさえすれば文句はないのだろう。
つまり悠真は期待されていなかったのだ。