諦めていた恋の続きを始めます


いつしか家の中では空気のように存在感を消すようになった。
おかげで家族からは「手のかからない子」だと思われるようになっていった。

中学や高校では、ひとりで過ごすことが多かった。親しい友人を作るわけではないが、拒絶するのでもない。
話しかけられたら答えるし、勉強や運動もそれなりにこなすから注目は集めていた。

ただ悠真は何にも執着しない。つまり他人と慣れあったり、関わったりする気がないだけだ。

悠真が医学部に入った時も、両親からの反応は薄かった。
すでに真大は高名なアメリカの大学を卒業してニューヨークの病院で働いていたから、比較にもならなかったのだろう。
父からは「そうか」と言われただけだったし、母にいたっては海外旅行中だった。
母には「合格した」とメールで伝えたが、返信は数日遅れて届いた。
「おめでとう」も「よかったわね」もなかったから、どんなメッセージだったか悠真の記憶には残っていない。

そんな両親だったから、悠真はさっさと見切りをつけて大学入学と同時に家を出ることにした。
もちろん反対する人はいないので、祖父が遺してくれていた古いマンションでひとり暮らしを始めた。



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