諦めていた恋の続きを始めます



大石琉輝と知り合ったのは、その頃だ。

悠真は別に孤独が好きなわけではない。ひとりでいることが多かっただけだ。

そんな悠真に、琉輝は気遣いなく話しかけてくる。琉輝の明るくて大ざっぱな性格が、意外にも心地よかった。
琉輝は悠真にとって、初めてできた親友だった。

カラッとした琉輝の笑顔は、醒めた性格になっていた悠真にはまぶしすぎた。
あっけらかんとした琉輝といると、両親からの愛情を感じられなかったことや、人との関わりを避けてきたなどどうでもよくなった。

悠真はやっと自分の世界が動き出した気がした。

人たらしな琉輝の周りには、友人たちが集まってくる。
いつしかグループが出来上がり、そのメンバーで大石家を訪ねるようになった。
たまたま大石家は医学部の教養課程を学ぶキャンパスの近くにあったから、メンバーにとって絶好のたまり場だ。

琉輝の家族はとても温かい人たちだった。
父親は忙しいはずなのに気さくに声をかけてくれたし、母親はいつも笑顔で歓迎してくれた。
大勢の仲間とともに夕食に誘われた時など、悠真は食事がこれほど楽しいものなのかと感動したほどだ。

あまりにも居心地のいい場所だったので、週末などは泊まり込んでしまったこともある。

大石家は、悠真の心を癒してくれる唯一の場所だった。




< 82 / 173 >

この作品をシェア

pagetop