諦めていた恋の続きを始めます
まどかの存在も大きかった。
出会った頃のまどかは、まだ高校生だった。
目鼻立ちの整った琉輝とはあまり似ていなくて、地味な印象しかなかった。
琉輝は「あれで気が強いんだ」と言っていたが、控えめでおとなしい子に思えた。
ただまどかは、悠真たちを見かけただけでキャアキャア騒ぐ女子学生たちとはどこか違っていた。
他とは違う空気をまとっているように見えるのだ。
おっとりとしているようで、誰よりも周囲に気を配っている。
テーブルの上を手早く片づけたり、話題に入れない人にさりげなく話を振ったりもする。
どれも些細なことかもしれない。
よく見ていないと誰からも気づかれないことばかりなのに、まどかはサラッとこなしていく。
それにまどかは、ホッとするような笑顔を向けてくれる。
媚びた顔でも、作り笑いでもない自然な表情だ。
親友の妹としか見ていたはずなのに、十代の少女は、あっという間に成長する。
いつしか悠真はまどかを意識し始めていた。
看護師を目指していると知ってからは、少しでも助けになればと勉強を見たりもした。
夕食をごちそうになった代わりに、苦手科目を教えるという理由をつけてだ。
少しでもそばにいる時間を増やしたかったのだが、高校生のまどかに対しては「親友の妹」としての距離を守っていたつもりだ。