諦めていた恋の続きを始めます
同じ病院に勤務する小児科医の鷹取和也と、まどかが付き合い始めたというではないか。
(まさか、あいつが)
細身で優し気なルックスだし、社長の息子とあって人気が高いのは知っていた。
いつの間にまどかに交際を申し込んだのか、出し抜かれた気分だった。
悠真は油断していた自分に腹が立った。その憤りを琉輝に向けたのだが、その返事には驚いた。
「なんで止めなかったんだ」
「だってお前には、沙織さんがいるだろ?」
琉輝には、彼女のいる友人を妹にすすめるわけないじゃないかと笑われてしまった。
「それは」
「あんな綺麗な彼女がいるくせに、妹に手を出すなよ」
そう言って、琉輝は大笑いする。
どうでもいいと思って、沙織とのうわさを琉輝に否定してこなかったのは悠真だ。
しかも卒業以来、沙織とは会ってもいないのにうわさは生きている。
すべて自分の失態だから、悠真はまどかを諦めざるをえなかった。
ただ喪失感は、思っていた以上に悠真を苦しめた。