諦めていた恋の続きを始めます



真大と沙織の披露宴は豪華なものだった。
悠真はしぶしぶ出席したが「兄に恋人を寝取られた弟」のレッテルは消えていない。
うわさがここまで根深いとは思いもしなかった。

真大は知っているのか知らないふりをしているのか、どんなに視線を集めても通常通りの穏やかな表情だ。
「弟から兄に乗り換えた、したたかな女」と陰で言われている沙織も、平然としている。
ある意味、似たもの夫婦かもしれない。

もう変な誤解をされたくなかったので、悠真はこれまで以上に両親や兄夫婦を避けることにした。
特に沙織と関わるのはこりごりだった。

真大夫婦はハネムーンから帰国すると、すぐに周防家で暮らし始めた。

周防家は、栄子の趣味で数年前に建て替えられている。広い敷地を持つ、かなり大きな屋敷だ。
ベッドルームだけでも六部屋あって、バスルームとキッチンも二カ所にある。それに客間まで用意しているのだ。
息子たちが結婚してからも、病院のために屋敷で同居すると考えたのかもしれない。
大勢の客を呼んで、パーティーも開くつもりなのだろう。

栄子の夢のために建てた豪華な家は、悠真にしてみれば張りぼてのようなものだ。

ただ、あの沙織が夫の両親との暮らしを受け入れているのは驚きだった。
沙織も真大とともに周防総合病院で働くようになったので、家のことはすべて家政婦に任せられると考えたのかもしれない。

(もう俺には関係ない)

周防総合病院や周防家のしがらみから離れ、悠真は自分の力だけで生きていくつもりだ。
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