諦めていた恋の続きを始めます






出会ってから何年経っても、悠真の心にはまどかが存在していた。

受験勉強に取り組んでいた生真面目な顔。
大学に合格した時の、はちきれんばかりの笑顔。

同じ職場になってからは、看護師の仕事に真剣な顔で向きあっている姿を見てきた。

必要なことを常に自分でも考えているから、てきぱきと医師からの指示に応えている。
忙しいはずなのに、患者や周囲のスタッフには柔らかい表情を見せている。

考えてみれば、その姿は高校生の頃と変わりない。まどかには、いつも周囲を思いやる視線があった。

だが、自分のことは後回しにしていないだろうか。
だから悠真がそばにいて、がんばりすぎるまどかを支えてやりたいと思っていた。

だがまどかは悠真ではなく、鷹取和也と付き合っている。

(何の罰ゲームだ)

大学では沙織が恋人だとうわさされるし、まどかの隣にいる権利はほかの男に奪われてしまった。
会いたくもなかった沙織は兄の真大と結婚したから、義理とはいえ姉になる。

知らずに悪いことをしていたのかと思いたくなるほど、運に見放されている気がする。
 
まどか以外に心ひかれる人はいないので、恋愛も結婚もどうでもよかった。
女性からのアプローチは絶えなかったが、悠真は仕事に没頭して恋愛から遠ざかった。

時おり病院内でまどかの顔を見ることはあったが、こちらから声をかけたことはない。
恋人がいるのなら、関わらない方がいいはずだ。

琉輝から、まどかの結婚が正式に決まりそうだと連絡があった。
兄としては複雑なようで、うれしさと寂しさが入り混じったような声だった。

制服のころから知っているまどかが、いよいよ手の届かない存在になる日が近い。




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