ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
音を外すたびに、当たりどころが悪くてファールになった球がもの凄い勢いでこちらに向かって飛んでくる。
それに怯えて演奏を止めそうになりながらも、私は必死に指と口を動かし続けた。
「高藤! 最高!」
私が感慨深い気持ちに包まれながら演奏を続けていると、どうやら彼が1ゲームを終えたらしい。
25球のうち20球をホームランに導いた小出くんは、無邪気な笑顔を光り輝かせてバットを離し、まるで逆転サヨナラホームランを決めたあとに仲間と喜びを分かち合っていた時のように私へ抱きついた。
「ちょ、ちょっと……。小出くん、汗臭い……」
「すげー、楽しかった! やっぱり俺、高藤のことが好きだ!」
「は、はぁ……」
――彼が好きなのは私ではなく、演奏では?
やっぱり真に受けるべきではなかった。
そんな絶望感に苛まれながらも、なんで自分はこんなに強いショックを受けているのだろうかと疑問に思う。
「俺はこうやって高藤と再び巡り合うために、選手生命を絶たれたんだな……」
抱きしめる力を強めていた小出くんが顔を埋めて声を震わせる内容を聞いて、私は慌てて足元を見つめる。
彼が怪我をしてプロ野球選手を止めたのを、すっかり忘れていたからだ。
それに怯えて演奏を止めそうになりながらも、私は必死に指と口を動かし続けた。
「高藤! 最高!」
私が感慨深い気持ちに包まれながら演奏を続けていると、どうやら彼が1ゲームを終えたらしい。
25球のうち20球をホームランに導いた小出くんは、無邪気な笑顔を光り輝かせてバットを離し、まるで逆転サヨナラホームランを決めたあとに仲間と喜びを分かち合っていた時のように私へ抱きついた。
「ちょ、ちょっと……。小出くん、汗臭い……」
「すげー、楽しかった! やっぱり俺、高藤のことが好きだ!」
「は、はぁ……」
――彼が好きなのは私ではなく、演奏では?
やっぱり真に受けるべきではなかった。
そんな絶望感に苛まれながらも、なんで自分はこんなに強いショックを受けているのだろうかと疑問に思う。
「俺はこうやって高藤と再び巡り合うために、選手生命を絶たれたんだな……」
抱きしめる力を強めていた小出くんが顔を埋めて声を震わせる内容を聞いて、私は慌てて足元を見つめる。
彼が怪我をしてプロ野球選手を止めたのを、すっかり忘れていたからだ。