ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
「高藤? トランペットの?」
高校時代、私は吹奏楽部でトランペットを演奏していた。
恐らく小出くんの中では、その印象が大きいのだろう。
私は気まずそうに視線を逸らしながら、渋々頷いた。
「そ、そうですけど……」
「へぇ! 高藤、知り合いなのか。それはいいことを聞いたよ。同い年だし、教育係としてはうってつけだな」
「はい……?」
満面の笑みを浮かべた社長から思わぬ提案を受けた私は、なんでそうなるのかさっぱり理解できずに反論する。
「ちょ、ちょっと待ってください。私は誰かに教られるほど、社歴が長いわけでは……」
「高藤さん。君を小出くんの教育係に任命する!」
「えぇ……」
入社3年目の営業社員と社長の命令、どちらの発言権が強いかなど明らかだ。
こちらが不満を上げる声は誰からも受け入れられることなく、隣の開いている席には高校時代の同級生が座る羽目になった。
高校時代、私は吹奏楽部でトランペットを演奏していた。
恐らく小出くんの中では、その印象が大きいのだろう。
私は気まずそうに視線を逸らしながら、渋々頷いた。
「そ、そうですけど……」
「へぇ! 高藤、知り合いなのか。それはいいことを聞いたよ。同い年だし、教育係としてはうってつけだな」
「はい……?」
満面の笑みを浮かべた社長から思わぬ提案を受けた私は、なんでそうなるのかさっぱり理解できずに反論する。
「ちょ、ちょっと待ってください。私は誰かに教られるほど、社歴が長いわけでは……」
「高藤さん。君を小出くんの教育係に任命する!」
「えぇ……」
入社3年目の営業社員と社長の命令、どちらの発言権が強いかなど明らかだ。
こちらが不満を上げる声は誰からも受け入れられることなく、隣の開いている席には高校時代の同級生が座る羽目になった。