ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
 私はずっと、小出くんのことを成功者だと思っていたんだけど……。
 どうやら、本人の認識は異なるらしい。

「俺、頑張るから。高藤が、自分とおんなじ気持ちになってもらえるように……」

 同級生の隠された内面を知ってしまったら、今までのままでなんかいられない。

「はぁ……。そっか……。頑張ってね……」

 私は気の抜けた返事をすると、棒読み気味に返事をする。

「おう!」

 小出くんはそれだけで満足したようで、当然のように額へ口づけた。

「な……っ!」
「へへ。ファーストキス。頂き!」

 彼は驚くこちらの頬から両手を外すと、ケラケラと大笑いしながら走り出す。

 ――ファーストキスの意味、ちゃんとわかってんのかな……?
 唇じゃなきゃ、カウントできないと思うんだけど……。

 私はなんとも言えない気持ちでいっぱいになりながら、彼とのデートを終えた。

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