ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
 ――カメラの前で堂々と仲よさげな姿を見せびらかして、本当にいいのだろうか……?

 こちらが不安に思って戸惑っていると、逃がすわけにはいかないとリポーターが焦って声をかけてきた。

「お話を……!」
「強引な取材は、止めてください。迷惑です。放送局にクレームを入れますよ」
「く……っ」

 小出くんに冷たい瞳で見下された報道関係者はこれ以上強引な取材を続けたら首が飛ぶと焦ったのだろう。
 彼らが怯んだ隙を狙い、同級生は私を連れ出し社内に誘導した。

「小出くん! よかったの……? あの人たちが見ている前で、手……っ」
「無事で、よかった……!」

 彼はオフィスに入室して早々、同僚たちの見ている前で堂々と私を抱きしめる。
 それに焦って非難の声を上げれば、小出くんは今にも泣き出しそうに聞こえるか細い声を響かせた。

「高藤がマスコミの突撃取材を受けているって聞かされて、俺……っ!」
「ちょっと……。ここ、会社……。あの人たちは、犯罪者とかではないんだから……」
「俺の高藤を怯えさせた。それだけで、万死に値する」

 戸惑いながらも落ち着いてほしい一心で背中を擦っていると、彼の口から物騒な言葉が飛び出てきた。
 それに絶句している間に、小出くんは私を責める。
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