ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
『俺の好意を拒否なんて、させないからな?』

 どこからともなく、そんな副音声が聞こえてきそうだ。
 しかし、こちらだって負けてなどいられない。
 はっきり言わなきゃ、これからも巻き込まれて酷い目に遭う。
 それだけは嫌だと、私は強引に彼の手を引き剥がした。

「私と小出くんは同級生で、今は教育係と新人です! それ以上でも、それ以下でもありませんから!」
「わかった。ひとまず、君たちの関係は現状維持で行こう。もっと酷くなるようなら、教育係の解任や、在宅勤務も……」
「社長!」
「話は以上だ。高藤さんは、少し早いが休憩を取りなさい。落ち着いたら、仕事に戻ること」
「はい。お心遣い、感謝いたします」

 社長に噛みつく同級生に構っている暇などない。
 私は頭を下げてから、部屋をあとにした。

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