ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
 心外だとばかりにぼそりと呟いた私の声を耳にした小出くんは、こちらを不思議そうに振り返ったあと凝視した。
 どうやら、こちらが心を開き始めていることにまったく気づけていなかったようだ。
 彼は驚きで目を見開きながら、大声で問いかけてくる。

「俺のこと、意識してくれてんの!?」
「う、うん……。そりゃ、するでしょ……。友達になってから、もう半年くらい経つし……?」
「うわぁ……。全然気づかなかった……。高藤、わかりにく過ぎ……」

 どうやら今は喜びよりも、後悔が勝っているらしい。
 ――小出くんを悲しませたくて、言ったわけじゃなかったのに……。
 どうしたら、普段の調子を取り戻してくれるのだろう?
 私は1人で悩んだ末、思い切って問いかける。

「もっと露骨に、表現したほうがよかった?」
「当たり前だろ? なんで、そういう時だけ隠そうとするんだよ」
「だって、急に態度を変えたら気持ち悪いかなって……」
「はぁ……」

 小出くんは呆れたようにため息を溢すと、天を仰ぐ。
 その後、こちらに向かって非難するような目を向けた。
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