ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
「高藤。あのさぁ。遠慮する必要とか、ないからな?」
「でも、小出くんは雲の上の人で……。有名人だし……」
「それは過去の話。今は同級生で、同僚じゃねぇか」
「そうなんだけど……」
「対等な立場なんだからさ。気後れするだけ損だぞ?」
「うーん……」
「ほら、おいで」

 小出くんは時折、私をペットのように扱う。
 同級生のことをなんとも思っていなかった時は不快感ばかりが募っていた。
 でも、今は――両手を広げてこちらを呼ぶ彼を、素直に受け入れられる。
 こういう行動をする時は機嫌がいいんだって、知れたから。

「じゃあ、お邪魔します……」
「おー、よしよし。高藤はほんとに、素直でいい子だなぁ。ほんと、かわいい」
「小出くん。その言い方、なんかおじさん臭いから止めたほうがいいよ……」
「おっと。せっかく上がった好感度が、急降下しちまう……」

 同級生の腕の中にすっぽり収まった私は、小出くんに抱きしめられる。
 触れ合った場所から伝わる熱が全身に染み渡り、ぽかぽかと暖かさに包まれていく。
< 59 / 62 >

この作品をシェア

pagetop