ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
 ――私は今、幸せだ……。

 彼と偶然再会しなければ、このような多幸感など一生感じる機会などなかっただろう。

「小出くんに好きだって言ってもらえて、本当によかった……」
「やっと自分の気持ちに、正直になる時が来たか?」
「うん」

 ずっと、この気持ちを受け入れたら負けだと見ないふりをしてきた。
 そんな感情を、ようやく曝け出す時が来たようだ。

「一緒にいると、安心するの」
「おう。そりゃ、よかった」
「幸せな気持ちでいっぱいになれたのは、小出くんのおかげだよ。本当に、ありがとう」
「どういたしまして」

 彼が機嫌を取り戻してくれてよかったと、ほっと胸を撫で下ろす時間はない。

 ――ちょうどいい機会だ。
 思い切って、打ち明けてしまおう。

 断られてしまうかもしれないと考えるだけでも、チクチクと心が痛む。
 だけど――私は小出くんのことを、信じられるようになった。
 もう、尻込みなんてしてはいられない。
 ――今度は私から、一歩を踏み出すんだ。

 そんな覚悟を込め、恐る恐る問いかけた。
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