ホームラン王子と過ぎ去った青春をもう一度
「真姫ちゃんは、やっぱり音大を目指すの?」
「うーん。どうかな……。うち、お金ないから。無理じゃないかな」
「ええ!? もったいない! 奨学金とか、借りても駄目なの!?」
「数千万なんて、返せないよ。一生トランペットを吹き続けて、生計を立てられる保障もないし……」

 高校生の間で少し秀でているくらいの実力で天狗になって音楽の道を志したところで、なんの意味もない。
 上には上がいると入学してから知り、自分が下から数えたほうが早いほどの成績だと認識するのが一番最悪な展開だ。
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