Devil's Night
 
 とにかく歩いた。


 けれど、恐怖で錯乱していたのかも知れない。自宅とは違う方向へ歩いていることに気づいた。


「ゴホッ」


 また吐きそうになって、あわててポケットの中のハンカチを探す。


 固い紙片のような感触が指先に触れ、ふと思い出した。名刺だ……。


 私はハンカチを出そうとしていたことも忘れ、名刺を引っ張り出していた。
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