Devil's Night
 
 何も手につかず、食べることも眠ることもできないまま、2日が過ぎてしまった。


「ママぁ、お腹すいた」


 陽人の声にハッとして、ようやく朝から何も食べさせてないことに気付いた。


「ごめんね。今、ごはん作るね」


 あわてて台所に立った。手を伸ばした食器棚に、陽人の茶碗と絵莉花の茶碗が並んでいる。子どもたちの好きなパステルカラーのウサギの絵。


『ママ、次のお誕生日には本物のウサギを買って』


 得意の上目遣いを思い出す。


――絵莉花……。あのとき、どうして連れ去られる我が子に気付かなかったんだろう。


 同じ後悔ばかり。そうやって自分を苦しめる以外に、贖罪の方法を思いつかないから。



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