Devil's Night
仕方なく香織のうしろをノロノロ歩き、空港の駐車場へついて行く。カイがトランクを開けたのは、沢山の車の中にあっても目立つ、黒い大きな外車だった。
その車のトランクは、3つのスーツケースを余裕で飲みこんだ。
「どうぞ」
後部座席のドアを開けるカイの顔を見ると、またあの映像が生々しくよみがえる。残酷な景色に興奮するみたいに、兄妹で抱き合う異常な光景を。
「どうかした?」
カイが不思議そうな表情を浮かべ、私の顔をのぞきこむ。その態度は親切な幼なじみの夫そのもの。もはや、どこからどこまでが夢で、どれが本当のカイなのかわからなくなっている。私自身が精神的な疲労のせいで、おかしくなっているのかも知れない。