Devil's Night
 
「陽人くんの場合、症状が重い。助かるためには一刻も早く心臓移植手術を行う他ありません」


「心臓……移植……」


今こうして抱きしめているこの小さな体から、心臓を取り出して、別の心臓と取り替える……。想像しただけで眩暈がして、倒れそうになった。


「しかし、日本での15歳未満の臓器移植は始まったばかりです。まだドナーは少なく、移植を待つ患者は膨大な数にのぼります。おそらく……時間がかかります」


――つまり日本でドナーは待てない。


「では、どこか外国へ……」


「今の状態では海外への移送も困難でしょう」


「じゃあ、どうすればいいんですか?」


陽人を抱いたまま、すがりつくように聞いていたが、白髪の医師は苦しそうに唇をゆがめ、ただ首を横に振る。

 
――助かる手立てが……ない……。


< 210 / 359 >

この作品をシェア

pagetop