Devil's Night
月のない夜。床に置かれたキャンドルの炎だけが聖堂の内部を照らしている。カイが窓辺に立ち、外を眺めていた。そして、壁のマリア像が見下ろす祭壇に寄りかかるようにして、ひとりの少女が猫の頭をなでている。また、あの少女だ。美しい少女の上の中で気持ちよさそうに目を細めている灰色の猫は、カイが飼っていたロシアンブルーにそっくりだった。
「昨日の火事で何人死んだかしら」
少女が楽しそうな顔でカイに問いかける。
「さぁ……」
外に目をやったままのカイが、無表情に首をかしげる。
この場面も知っている。やはり、この少女は私なのだろうか……。判然としない不思議な既視感。